ReviewsGems & Gemology, Fall 2016, Vol. 52, No. 3

ブックレビュー:Precious Cufflinks: From Pablo Picasso to James Bond(貴重なカフスボタン:パブロ・ピカソからジェームズ・ボンドまで)

Larry S. Larson

Precious Cufflinks(貴重なカフスボタン)の表紙
Walter Grasser、Franz HemmerleおよびDuke Alexander von Württemberg共著、ハードカバー、112頁、 Hirmer Publishers出版、ミュンヘン、2016年、$49.95。

幸運やお守りの象徴として誕生石を身に着けることが18世紀に普及したことにより、私の「今月のカフスボタン」クラブを完成させる宝石やデザインを探すのに10年もかかりました。 このため、私はこの新しい本が出版されるのを心待ちにしていました。

Walter Grasser、Franz Hemmerle、Duke Alexander von Württemberg共著の本のPrecious Cufflinks: From Pablo Picasso to James Bond(貴重なカフスボタン:Pablo PicassoからJames Bondにいたるまで)というタイトルは、素晴らしい写真や興味深い学術的な作品が溢れていることを約束するものでした。 ドイツ語と英語で書かれているこの本は、1700年代から現在に至るまでの紳士の装飾品を時系列に沿って紹介しています。 残念ながら、約束は破られるためにあるという皮肉が正しいことが証明されました。

ピカソおよびジェームズ・ボンドを演じたダニエル・クレイグの両方がカフスボタンを必要とするシャツを着ていたという理由のみで、彼らの写真がこの本に掲載され、このようなタイトルになったのはユーモアがあると思われます。 紳士の宝石に対するこのユニークな観点から、ピカソの芸術性やイアン・フレミング(007シリーズの著者)との関連について語られていることを予想した私の期待は、外れてしまいました。 この本の目的は、カフスボタンに関連するドイツの芸術を年代別に紹介することであると伝えられていますが、ハードカバーの業界誌以外の何ものでもありません。 有名なドイツのジュエリー企業の広告が本の最後に掲載されています。 現代のカフスボタンの例の多くがこの広告主のものである理由が、これで分かります。 それぞれのセクションで、著者は、カフスボタンの特定のスタイルやテーマの歴史的側面に関するちょっとした雑学や一般的な説明を紹介しています。 しかし、これらはごくわずかな説明であり、カフス愛好家、ジュエリーデザイナー、ジュエリーの歴史に非常に関心がある読者にとっては、より説得力のある文献や少なくとも記載されているものの証拠となる説明が必要とされるでしょう。

19世紀および20世紀のカフスボタンは、芸術的な写真を使って紹介されています。 美しいカラー宝石、正確なエナメル作業そしてのんびりと暮らしている紳士に関連したテーマのある芸術の巧緻な作品の例が、詳細まで観察できるように掲載されています。  注目に値するカフスは、ドイツ製であり、ロッククリスタルクォーツに彫刻されて塗装された狩猟鳥を描いたものです。 1960年に製作されたより近代のカフスは、狩猟のトロフィーとしたシカの歯を特徴としています。  悲しいことに、詳しい宝石学的な記述はありませんでした。 多くの場合、使用されている金属の純度に関する説明はありませんでした。 また、ネフライトを「ロシアのジェード」と呼ぶように、宝石の不正確な名称が紛れもなく明らかに間違って使用されていました。

紳士のためのドイツのジュエリーにおける芸術を探求するという前提が、より詳しい分析や当時の主要な芸術家についての解説を通じてより実現されていたならば、この本はどの宝石学の図書館でも重要な書物として保管されていたことでしょう。 しかし、目を通すには素晴らしい書物であり、わずかな情報を収集するには役に立つでしょう。

Larry S. Larsonは、ノースカロライナ州ウィルミントンのREEDS Jewelers(リーズ・ジュエラーズ)の研修ディレクターです。

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