イタリア人デザイナー、バンコクで自分の人生を築き上げる
10月 11, 2017
何千年も前に石灰岩により形成された洞窟住居で有名なイタリアの古代の都市、マテーラで1899年に高級ジュエリー店、Gioielleria Loglisci dal 1899が誕生しました。
GIAよりGGのディプロマを取得したGiulianna “Lucy” Loglisciは、父親の家族が創業した由緒あるこのジュエリー店で育ちました。子供のときからジュエリーが大好きであった彼女は、家族経営のこのジュエリー店が数多くの都市へと事業を拡大するにあたり、「ダイヤモンド、宝石や特別なジュエリーに囲まれて」この閑静な町で育ったのは光栄であったと感じています。
クリスマス間近で慌ただしい時期に、Loglisci は10代の頃マテーラの本店で働きましたが、その後イギリスにいるイタリア人のジュエラーとともにもっと経験を積むためにロンドンに引っ越しました。Loglisciは両親よりGIAで学習することを勧められたため、GIAのロンドンキャンパスでダイヤモンドについてのクラスを受講しました。
「私の家族が経営しているビジネスに戻って、そこで働くという目的でGIAで勉強し始めたのです」と彼女は語ります。「でも、本当にやる気があれば、もっとたくさんのことをする機会がある、と勉強している間に気が付いたのです。自分の会社を立ち上げるのを夢に描いたのはこの時です。」
彼女は会社をどこで創業するかも考え始め、GIAのキャンパスでグラジュエイト ジェモロジスト(GG)のディプロマを取得し、ビジネスを立ち上げるという2つの目標を達成するには、タイのバンコクが最高の場所だと判断しました。
「今まで来た事もないこの新しい場所に惹きつけられて、ヨーロッパとは全く違う新しい文化を発見することに興味が湧きました」とLoglisciは述べます。「バンコクはカラー宝石のビジネスの中心地として有名なので、バンコクで学習して、そこにいる間に学んだことを生かすというアイデアにとっても惹かれたのです。」
バンコクにあるGIAのキャンパスでは、学習はもちろんのこと、貴重で実用的な経験が積めたとLoglisciは思っています。
「最も素晴らしい体験のひとつは、カラーストーンのコースを取っていたときに、GIAが主催した旅行でチャンタブリに行ったことです。バンコクから車で3時間くらいかけて、あのものすごいタイの宝石市場を訪れたのです」と彼女は語ります。「最初にサファイア鉱山を訪れて、それから市場に行きました。宝石が販売されているその方法にはビックリしました!カラー宝石が道端にある小さいテーブルで売られていて、中には壊れているテーブルで売られてるのもありました。ドアのないオフィスで売られているときもあったのです。」
Loglisciは、GGのディプロマを取得するため費やした努力は無駄ではなく、毎晩遅くまで勉強したのはやりがいがあったと思っています。
「GIAでは最高の経験をしました」と彼女は語ります。「素晴らしい人にたくさん会うことができましたし、私が取ったコースではこの素敵で複雑なビジネスに入るための基礎を学ぶことができました。」
卒業後、Loglisciはバンコクに拠点を置く宝石会社に就職し、2015年に開催されたBaselWorld(バーゼルワールド)で運営、トレードショー、販売およびデザインを担当しました。そこで1年間働き、経験を積んだことには感謝していますが、自分のプライベートブランドを立ち上げることは大きな夢のままとして残っていました。
「私は自分のスタイルとクリエイティビティを使って、自分で何かを作りたかったのです」と彼女は言います。「バンコクでビジネスを立ち上げて運営するのはヨーロッパとは全く異なるので、バンコクにとどまることにしました。会社を作ってから製造に至るまで、すべてにおいてここではもっと色々なことができて、簡単にできるのです。」
彼女は、ダイヤモンドやカラーストーンを9Kのゴールドと組み合わせて作った作品の販売に従事する、Lucy G. Jewelry(ルーシー G. ジュエリー)を創業しました。彼女の初コレクションは I Colori Della Frutta (フルーツの色)と名付けられ、彼女のブランドのイヤリング、リング、ブレスレット、ネックレスを組み合わせて着用するというアイデアに基づいた「明るくてさわやかなコレクション」です。「気楽でスッキリした」スタイルで着用したり、もっと洗練されたスタイル、またはエキセントリックなスタイルでさえも挑戦していただけます。
彼女のジュエリーに使われる宝石は、ルビーやブルー、ピンク、イエローまたはオレンジのサファイア、アメジスト、パライバトルマリン、ブラックや無色のダイヤモンドです。また、これらの宝石を組み合わせてジュエリーが作られることもあります。
「ジュエリーがクライアントにしっくりとくるように、ジュエリーを自分のものにしてもらいたいのです」とLoglisciは語ります。
Lucy G. Jewelryの作品は、イタリアの9つの都市にあるいくつかの宝石店、そして彼女の最初のクライアント、Gioielleria Loglisci dal 1899ですでに販売されています。彼女の両親は、彼女が自分のブランドを始めるのを心配して、家に戻ってくるのを望んでいましたが、彼女の決意が固かったため両親は納得しました。
「私は自分自身と私がしていたことを本当に信じていたので、両親はそれを受け入れて、お店で私の製品を販売し始めてくれました」と彼女は説明します。「私の作品を売るたびに、もっと好きになってくれました。私を信頼してくれて、私は一生感謝の気持ちを忘れないと思います。だって、独りでないとわかっているとすべてがうまくいくからです。」また、Loglisciは、ビジネスをさらに拡大する準備に取り掛かっているため、GIAでのトレーニングにも感謝しています。
「GIAではダイヤモンドやカラーストーンについて素晴らしい知識を学びました」と彼女は語ります。「GIAで取得したディプロマとその後に得た実践的な経験のおかげで、購入するものを私は理解することができるのです。毎日、何カラットものダイヤモンドや宝石を購入しなくてはいけないのですが、GIAのおかげでそれらを区別したり、品質を理解したり、必要なツールで正しく作業するその方法を知っています。」
「私は自分のしていることが大好きで、クライアントのポジティブな反応を見るととても嬉しく思います。私の夢は実現しましたが、留まることは決してありません。これは始まりにしか過ぎないのです。」
寄稿者Jaime KautskyはGIAダイヤモンドグラジュエイト、またGIA Accredited Jewelry Professional(AJP アクレディテッドジュエリープロフェッショナル)で、The Loupe(ザ・ルーペ)誌の共同編集者を務めていました。