業界分析

堅調な需要のためダイヤモンド原石の売上増加


様々な色のダイヤモンド原石。
レソトのLetseng(レツェング)鉱山で産出されたダイヤモンド原石。それぞれ平均およそ0.4カラットある。写真:Russell Shor/GIA

ダイヤモンドとジュエリーの今年の需要は、世界各地で引き続き良好であり、De Beers(デビアス)とAlrosa(アルロサ)は、2019年までこの好況が持続すると確信しています。今年、両社のダイヤモンド原石の売上高は大幅に増加したと想定されています。

デビアスは、6月18~21日のサイクル(サイト)およびその他の割り当てで5億7500万ドル(約632.5億円)を販売し、前年の同時期と比べて6%増加したと発表しました。今年前半の6ヶ月間におけるデビアスのダイヤモンド原石の売上高は、この時期に対して懸念があったため昨年の合計と同じまたは幾分減少しています。しかし、常に最後の週に行われる発表の後に行われた取引を考慮して、毎月の売上高の合計が上方修正されることがよくあります。

ロシアのダイヤモンド採掘会社、アルロサは、6月に3億9030万ドル(約429.3億円)相当のダイヤモンド原石を販売し、前年同月の売上高を8%上回りました。また、今年上半期の原石の売上高も8%上昇しました。アルロサは、自国およびアンゴラのCatoca(カトカ)鉱山で産出されたほぼすべてのダイヤモンドを販売しています。売上高の合計が増加した理由は、販売量が増加したためであり、価格が上昇したためではありません。

ダイヤモンド業界の流れの中では、今月初めに行われたJCKラスベガスの見本市の後、ポジティブに捉えており、あらゆる製品において弊社のダイヤモンド原石の需要は引き続き良好です、とデビアスでCEOを務めるBruce Cleaver氏が、サイクルの合計を発表した際に述べました。

生産

高級専用ダイヤモンドの生産者は、非常に大きなダイヤモンドを引き続き探し求めています。

Lucapa(ルカパ)は、7月11日にアンゴラのLulo(ルロ)鉱山で114カラット(ct)のダイヤモンドを発見し、先月はボツワナのMothae(モタエ)鉱山で89ctのイエローダイヤモンドを発見しました。カナダの新しいGahcho Kue(ガーチョ・キュー)鉱山では、これまでで最大のダイヤモンドである95ctのカラーレスの結晶が産出されました。

数年前にボツワナのKerowe(カロウェ)鉱山で1109ctのLesedi la Rona(レセディ・ラ・ロナ)ダイヤモンドを発見したLucara Diamond(ルカラ・ダイヤモンド)は、レセディ・ラ・ロナとその他の非常に大きな結晶をいくつか産出したキンバーライトのその部分で抽出活動に再び注力しています。その部分から最近取り出されたサンプルから、重量10.8ct以上の47個のダイヤモンドが発見され、その中には100ct以上がひとつ、50ct以上のものが6つありました。

キンバリープロセスは、2017年における世界のダイヤモンドの生産量は、1億5090万カラットと19%増加し、これは主にカナダにある2つの新しい鉱山、ガーチョ・キュー鉱山とレナード鉱山のためであると報告しました。カナダは、41億ドル(約4510億円)相当の4260万カラットを産出したロシアに続いて、世界第2位のダイヤモンド生産国であり、20億6000万ドル(約2266億円)相当の2320万カラットを産出しました。 

小売り

米国の州政府がオンライン小売業者に売上税の徴収を義務付けることを認めるという最高裁判所が最近下した判決は、ジュエリーのサプライチェーンのすべての分野の企業を代表する事業者団体、Jewelers of America(JA)が30年前に創立されて以来、最も素晴らしいニュースのひとつでしょう。米国のカタログ会社がジュエリーを販売し始め、その企業が拠点を置く州に居住する顧客以外には売上税を請求していなかったため、JAは、遠隔地にある販売会社は優位な立場にあり、これは不公平であると主張してきました。また、インターネット販売が増加しつつあるためこれは非常に深刻な問題となっていました。

高価なジュエリーではかなりの金額を節約できる場合もあります。全米50州のうち45州は売上税(最高9%)を徴収しており、いくつかの司法管轄区 (例えばニューヨーク市やラスベガス) はその州の税率に連結させています。
 
店舗を構える従来の小売業者が、この決定により正確にどのくらい恩恵を受けられるかは依然として不明のままです。各州の税率が異なり、異なる州法が適用され(例えば、特定の商品は非課税など)、申告書を提出する方法も異なるため、大概の事にはあらゆる落とし穴があるものでしょう。また、実店舗販売の宝石商はオンラインでも事業を展開するようになったため、最高裁判所によるこの決定は諸刃の剣になり得ます。

各州がインターネットで販売された商品の税金を徴収する独自の州法を制定する必要があるため、最高裁判所の判決が直ちに変更をもたらすということは決してありません。また、すでにオンライン取引の売上税を徴収している州もいくつかあります。たとえば、Blue Nile(ブルーナイル)は、実際の支店 (ネクサス) があるため、ハワイ州、メイン州、ミシシッピ州、ニューヨーク州、オクラホマ州、バージニア州、ワシントン州の顧客から売上税を徴収し、Amazon(アマゾン)も売上税があるすべての州から売上税を徴収しています。

Russell Shorは、GIA カールスバッドのシニア業界アナリストです。