同窓会スポットライト

GIA奨学金がデザイナーの技術的スキル、創造性を高めることに役立つ


リング、ラリアット、ペンダント、イヤリングから成る、18K イエローゴールド、エメラルド、エナメル、ダイヤモンド ラリアットセットの拡大写真。
緑はガラス状の透明エナメルで、ラリアットは30カラットのラウンドブリリアントエメラルドが特徴です。緑はガラス状の透明エナメルで、ラリアットは30カラットのラウンドブリリアントエメラルドが特徴です。「このスイートはデザイナーとして一番の自慢の作品のひとつです」と、Wisnerは言います。「私はこれまで学んだことをすべて使って制作した。」写真提供:Daniel Wisner

Daniel Wisnerは、金属工芸クラスに通う兄を迎えに行くために母と一緒に廊下を歩いているとき、脈が高鳴りました。そのクラスに近づくにつれてブラック・サバスのロックがかかっているようなハンマーの音がより大きく、リズミカルに廊下にこだましました。大きく見開いた9歳児はアートセンターの教室に入ると、瞬く間に虜にされました。

人々は体を丸くして杭を形作り、シルバーボウルをたたき続けていました。私の兄のJustinは大きなマッドマックススタイルのゴーグルで顔を覆って教室の片隅でブロー・トーチを持っていました、とGIA ジュエリーデザイン&テクノロジー(JDT)の卒業生であり、Brooklynジュエリー・デザイン会社Matthias & Wisnerの共同所有者 Wisnerは思い出します。髪の毛が腰まで伸びたインストラクターが中央の前に立ち、頭からつま先までシルバーで覆われていました。私はこの金属クラスですぐに心休まる気持ちになり、その時から、私は宝石商になりたいと思いました、と話を続けました。

Wisnerはインストラクターである銀細工師 Kristen Alice Urfferの実習に兄と一緒に参加可能になる、自身の11歳の誕生日をやきもきしながら待ちました。兄弟はそれから5年間、Urfferの下で一緒に勉強しました。

Winsner先生は旧式の方法で教えてくださったので、『習うより慣れろ』を最大限に強調しました。忍耐と献身を作品に植えつけました。彼女のフォーカスと「もう一度やる」という考え方が、私が業界で続けていく骨格になりました、と、言います。

Daniel Wisnerの顔写真。
JDTのDaniel Wisnerは彫刻とパフォーマンスアートなど多様な芸術的背景を持っていますが、11歳で銀細工師としての見習いをしているときからジュエリーが彼の中心であった。Wisnerは弟のJustinと共にブルックリンを拠点にしたデザイン会社、Matthias & Wisnerを運営している。写真提供:Daniel Wisner

Wisnerはその後、宝飾製造業で見習いをし、ペンシルベニア州のKutztown University(クツタウン大学)に進学してエナメルおよびジュエリーアートで美術学士を取得しました。在学中、金属およびジュエリー芸術プログラムのスタジオ監督者として働き、発注を受けたジュエリー作品を制作する小規模のビジネスを始めました。

2014年にKutztown University(クツタウン大学)を卒業し、バーモント州Johnson(ジョンソン)のVermont Studio Center(バーモント・スタジオ・センター、VSC)のスタッフ・アーチストとして1年間研修生の地位が与えられました。WisnerはVSCで、彫刻、パフォーマンスアート、および長年のお気に入りのジュエリーデザインを1年ほど経験した後、ニューヨーク市でデザイナーとしての仕事を検討しました。そしてすぐに、厳しい現実にぶち当たりました。

私はすぐに、自分の芸術的技術は業界相応のものであったけれども、技術的な知識に欠けていることに気づきました、と話します。私は長年の間、業界全体で使用されなくなった技法に取り組み続けていたのです。私はカテドラルセッティングのスリーストーンの婚約指輪を創ることについて宝石商に話したり、スケッチを見せたりはできますが、CADでそれをどうやって作るか、さらにCADが何かさえも知らなかったのです、と続けました。

1回の就職活動で失望した後、Wisnerはもう一人の良き指導者であるJanna Gregonisが、GIAは「他と比べ物にならない教育」であることや「求人市場の競争者に対してより良い優位性」になることを教えてくれたことを思い出しました。調査の後、GIAのカールスバッド校ではCADとデザインの7か月の集中プログラムを提供していることを知り驚きました。翌日、そのプログラムに応募し奨学金を申請しました。

数ヵ月後、Wisnerは全額の奨学金が授与されるという手紙を受け取りました。

声を出すのがやっとでした。私はその瞬間、自分の人生が大きく変わったことを悟りました、と述べます。

中央のラウンドブリリアント ダイヤモンドの周囲には小さめのラウンドブリリアント ダイヤモンドが取り囲む。


その人生の変化は劇的なものでした。Wisnerは2016年に東海岸から南カリフォルニアに引っ越しました。宝石商や鍛冶師として訓練を受け、宝飾品販売をしていた兄のJustinも彼と一緒に引っ越し、集中プログラムを受講する彼をサポートしました。Wisnerは、すべての学生の講義に出席し、比類なきRichard T. Liddicoat Gemological Library and Information Center(Richard T. Liddicoa宝石学図書館情報)センターでほぼ毎日のように大量の本を借り、すべての時間を足を運ぶことに集中して実行しました。

これらのクラスは過酷で長く、綿密な詳細と作業でいっぱいですが、だからこそ一日も欠かさずにクラスに行かなければならないのです、と言います。一日にたくさんのことが起きるので、1時間だけでも出席しなければ自分が想像する以上に遅れを取ることになります、と続けます。

Wisnerはクラスメートと共にマトリックスのジュエリー作品の制作クラスで「ばかげたほどにまで詳細」にわたって学び、「魅了」させられたことをはっきりと覚えています。講師にはこれからやってくる技術の「ほんのはじまり」だと言われました。

その当時は、経験したばかりのCADがそれ以上に進歩するなどとは想像できませんでしたが、今となって、講師がどんなに正しかったかを思い知らされます、とWisnerは言います。JDTプログラムは私が技術デザイナーとして業界に入るための準備をしてくれ、その仕事を始めるために必要なツールと知識を与えてくれました、と続けます、とも述べました。

私はこの7か月で、これまで考えたことがないほど以上の技術、石のグレーディング、ビジネス慣行について学び、私の知識の基盤は望んでいた以上に広がりました。私は自分の仕事に対してこれまで以上の自信を持ち、コントロールが可能であり、GIA在学中に得た知識を使って紙に描いたことを正確に作ることができます。

GIAを背景にして立つ4人のグループ(母、二人の息子、父)、息子の一人はGIAディプロマを手にしている。
Wisner一家 – 左から母のLydia、Daniel、Justin、父のPeter – カールスバッドのGIAでDaniel Wisnerの2017年卒業を祝う。「GIAに在籍している間に作られるコミュニティは宝石商、デザイナー、宝石鑑別士、あるいはビジネスオーナーとしての仕事に成功するための要石であることは間違いありません」と、Wisnerは語る。「私がGIAで会った人々は自分のサポートグループになり、業界の中でしっかり進むためのライフラインになった。」Wisnerと兄はGIAで会った友人を通じて、彼らのデザインハウス「Matthias & Wisner」の石を頻繁に調達する。写真提供:Daniel Wisner

Wisnerの努力は報われました。6か月以内にAlexis Bittar社でアシスタント技術デザイナーとして常勤で働く仕事を得ました。自信で営んだビジネスでも成功を収めていますが、それ以上に他の専門家やその下で働くことは重要だと感じています。

彼は、両親の姓に敬意を表す、Matthias & Wisner社も兄と共に運営し続けています。兄弟は依頼されたジュエリーを一緒に制作しています。Wisnerは彼らの仕事はお互いを引き立たせる、と言います。

私は石に焦点を当てる傾向があり、Justinは金属により焦点を当てます、とWisnerは説明します。私はデザインの「ルール」を固守し、Justinは有機質のデザイン背景がその檻から解き放たせてくれます。私たちの美意識は非常に似ていますが、ふたりとも古典的なセンスがあり、最高の材質を使って時代を超えたプロフィールを作ることに焦点を当てています。これが現代的古典の調和につながるのです、と語ります。

両者とも熱心に歴史を学び、快適なウェラブルジュエリーや長持ちするスタイルを支持する傾向から距離を置き、Audrey Hepburn、Steve McQueen、Jackie Onassis、David Bowieのような「巨匠」にインスピレーションを求めています。

黒の革のコードからぶら下がっている、金とダイヤモンドの涙のしずくの形をしたケージ。
「この作品はとても楽しいもの」と、Wisnerは語る これは2つの作品から成り、真珠から原石、記念のものまで望むものを「ケージ」の中に入れて完成することができる。「ケージ」をレーザー溶接し、中のオブジェクトを閉じ込め、保つ。写真提供:Matthias & Wisner

スタイルとは本質的に個々のものです、とWisnerは述べます。どのようにスタイルを解釈するかについて学ぶことは、クライアントが本当に欲するデザインをどのようにデザインするかを学ぶ鍵にもなります、と続けます。

Wisner兄弟はビジネスの成長を楽しみにするとともに、ジュエリーの新しいラインを立ち上げ、生涯学び続けるつもりです。

技法と技術はデザインの成功に不可欠です、と説明します。技術の流れについて行くことにより、デザインの新しい可能性ができ、可能性の制限がなくなり自分自身の表現が可能になると、躊躇なく制作ができます。だからこそ私はGIAに通い、今日も進歩を追い続けるのです。私たちの業界は日々成長しているので、私たちもそうあるべきです、と語りました。

寄稿者Jaime KautskyはGIAダイヤモンドグラジュエイト、またGIA Accredited Jewelry Professional(AJP アクレディテッドジュエリープロフェッショナル)で、The Loupe(ザ・ルーペ)誌の共同編集者を務めていました。