展覧会レビュー: Green Diamonds: Natural Radiance(グリーンダイヤモンド: 天然の輝き)
3月 15, 2018
図2 0.47ctのファンシーディープブルーイッシュグリーン(左)、0.58ctのファンシービビッドグリーン(中央)、1.92ctのファンシーインテンスイエローグリーンなどのグリーンダイヤモンドの裸石がこの展覧会で披露されている。写真:©Optimum Diamonds(オプティマム・ダイヤモンズ)。
この展覧会は、当博物館の高い評価を受けている宝石・鉱物の保管庫の後ろにある個室で行われています。その他の宝石素材も同じ個室で展示されていますが、グリーンダイヤモンドは中央部に展示されています。30以上のファセットカットされた裸石が展示されており、その色相はグリーニッシュ ブルーからグリーンイエローに至るまで様々あり(図2)、これらの色が天然ダイヤモンドで発見されることがいかに稀であるかを理解することができます。また、熱や光にさらされると天然のグリーニッシュイエローからブラウンまたはオレンジに色が変化するカメレオンダイヤモンドのみが展示されているショーケースもあります。これらの最も稀少な宝石の中でも特に興味深い宝石は、3.08ctのファンシーダークグレーグリーニッシュイエローのカメレオンダイヤモンドでした(図3)。図3 これらペアシェイプの2つの宝石、3.08ctのファンシーダークグレーグリーニッシュイエロー(左)と2.15ctのファンシーディープブラウニッシュグリーンイエロー(右)がカメレオンダイヤモンドのショーケースに展示されていた。写真:©Optimum Diamonds(オプティマム・ダイヤモンズ)。
図4 左: ワイルドオーキッド(野生の蘭)リングでは、2つのグリーンダイヤモンド(0.86ctと0.76ct)がチタンにセットされている。右: トロピカルな雰囲気が漂うカリビアンピアスには、それぞれの中心に4ct以上のファンシービビッドブルーグリーンダイヤモンドが飾られている。写真:©Optimum Diamonds(オプティマム・ダイヤモンズ)。
これらのダイヤモンドを展示するために選ばれたジュエリーの作品は主にリングであり、この上なく素晴らしいものばかりです。ワイルドオーキッドリングやカリビアンピアス(図4)のように、いくつかの作品は、複数の色、形やサイズの石を使用して印象的な効果を演出している一方、その他の多くの作品は、シンプルで古典的なカットが施された無色の石をアクセントとして使用して、グリーンダイヤモンドが注目に値するセンターピースとなっています。その2つの例を図5で紹介しています。無色のダイヤモンドがスクエアの縁に散りばめられた2.01ctのファンシーファンシービビッドグリーンイエローと時代を超越した優美なセッティングの4.94ctのファンシーディープイエローイッシュグリーンの楕円形のグリーンダイヤモンドです。また、Nautilus(オウムガイ)リングとそれに合うピアスは、ファンシービビッドブルーグリーンの石がその中心にあるのを特徴とする自由造形のデザインであり、これらの概念を融合し大きな効果を生み出しています(図6)。図5 これらのリングで見られるように、展覧会で披露されているジュエリーの多くは、グリーンダイヤモンドをシンプルながらエレガントなデザインでリングの中心にセットしている。左:2.01ctのファンシーファンシービビッドグリーンイエローダイヤモンドのカラーが、スクエアの縁に散りばめられた無色のダイヤモンドによって引き立つ。右: 時代を超越したセッティングで、4.94ctのファンシーディープイエローイッシュグリーンのセンターストーンの周りを無色のダイヤモンドが飾り立てる。写真:©Optimum Diamonds(オプティマム・ダイヤモンズ)。
図6 ホワイトゴールドにセットされたNautilus(オウムガイ)リングとピアスには、ファンシービビッドグリーンブルーのダイヤモンドがそれぞれ中心に飾られている。このリングのダイヤモンドは1.55ct、ピアスのダイヤモンドは1.04ctと1.20ctである。写真:©Optimum Diamonds(オプティマム・ダイヤモンズ)。
展示では、ダイヤモンドの一般的な性質とその色の原因に関する詳細とともに、それぞれの標本のカラット重量が表示されています。1904年に「無名の科学者」(William Crookes卿)が放射能のある塩に白いダイヤモンドを埋めて実験を行い、放射線が原因でダイヤモンドのグリーンの色が生じることが判明した旨をロサンゼルス自然史博物館は簡略に記載しています。また、ダイヤモンド地質学とカメレオンダイヤモンドの性質についても簡単に説明しています。この情報は英語とスペイン語の両方で記載されており、非常に感心しました。しかし、これらの稀少な宝石が形成される過程や放射線に関するより詳しい情報が提供されていれば、より興味深いものとなるでしょう。例えば、壁に説明書きを貼ったりすることも可能であったと思います。また、展示されている部屋は暗めの化粧板で囲まれており、照明が薄暗いため、もっと明るい環境で展示した方がこれらの宝石の魅力を最高に引き立てることができたでしょう。展示されている有名なグリーンダイヤモンドは少数であるとしても、Dresden Green(ドレスデングリーン)、Ocean Dream(オーシャンドリーム)、Aurora Green(オーロラグリーン)などの有名な宝石に関する基本的な情報が提供されていれば、訪問者が理解を深めるのに役立つと思われます。グリーンダイヤモンド: 天然の輝きは、ロサンゼルス自然史博物館へ訪れるのがさらに楽しみとなる展覧会であり、カラーについて非常に興味を持たれているダイヤモンド愛好家にとって必見のイベントです。
グリーンダイヤモンド: 天然の輝きは、ロサンゼルス自然史博物館で2018年4月1日まで開催されています。入館料は、大人15ドル、62歳以上の方、学生(要学生証)および13~17歳の青少年12ドル、3~12歳のお子様7ドルです。ロサンゼルス郡にお住まいの方は、月曜日~金曜日の午後3時から5時まで入館料が無料となります。博物館は、毎日午前9時30分から午後5時まで開館しており、元旦、独立記念日、感謝祭、クリスマスは休館日となっています。
書評家について
Jennifer-Lynn Archuleta は、Gems & Gemology(宝石と宝石学)の編集者です。