ラボで製造されたダイヤモンドの鑑別


宝石品質の合成ダイヤモンド
このビデオでは、GIAの著名な研究フェロー、Dr. James Shigleyが、宝石品質の合成ダイヤモンドに関する最近の進展の概要を説明します。

今日のジュエリー市場では、宝石品質の合成ダイヤモンドが従来より入手しやすくなったため、宝石商は関心を示すだけでなく、素材の性質と、宝石鑑別士や宝石学ラボに鑑別が可能かどうかについての懸念も持つようになりました。

HPHT成長法による合成ダイヤモンドを使用したジュエリーの数々
HPHT成長法による合成ダイヤモンドは、Gemesis(ジェメシス)提供のこの魅力的な黄色の合成ダイヤモンドジュエリー (1.00~1.25ct) や、Lucent Diamonds(ルーセント・ダイヤモンズ)とChatham Created Gems(チャタム・クリエイテッド・ジェム)が提供する合成ルースダイヤモンド(各1ct未満)でも明らかなように、宝石、ジュエリーの市場で現在広範囲の色が流通している。 無色のものは天然のダイヤモンドである。

GIAは30年以上にわたり、合成ダイヤモンドすなわち「人工」ダイヤモンドについて広範囲に研究を進めてきました。こうしたダイヤモンドを製造・鑑別する方法については多大な知識の蓄積があります。合成ダイヤモンドはラボで成長、または工場で生産したものですが、それらの化学的および物理的特性は、天然ダイヤモンドに非常に近いものになっています。

合成ダイヤモンドを、模造石や類似石であるとする人たちもいますが、これは正しくありません。キュービックジルコニア、合成モアッサナイトのような模造石は、ダイヤモンドの外観を持っていますが、化学的および物理的特性は非常に異なります。これにより、訓練を受けたジェモロジストは容易にそれらを認識することができます。しかし、合成ダイヤモンドを見分けるのははるかに困難です。

市場チャートのダイヤモンドのカテゴリー
天然、合成、および色処理された、多種多様な宝石のダイヤモンドが市場で流通している。 これらのダイヤモンドは商業的価値が大きく異なるため、評価と販売時の消費者への開示の双方のため、正確な鑑別が非常に重要となる。

訓練を受けたジェモロジストならば、標準的な宝石検査器具を使用して、これらの合成ダイヤモンドや処理済みダイヤモンドを認識することができる場合もあります。他の例では、確実な判定を行うためにGIAでの高度な科学装置を用いたダイヤモンドの検査を要します。GIAでは、あらゆるタイプのダイヤモンドの宝石学的特性に関する大規模な情報データベースを作成しており、これをダイヤモンドのさらなる鑑別手段の開発を支援するために使用しています。

タイプによるダイヤモンドの分類法

1930年代から科学者たちは、特定の種類のダイヤモンドが同様の特徴を示すことを認識し始めました。彼らは、紫外線照射下での透明度の差に基づいて、タイプI、タイプIIと呼ばれる2つの主要なカテゴリにダイヤモンドをグループ化しました。後には、ダイヤモンド構造中の炭素(および不純物)原子の配列に基づいて、タイプIおよびタイプII ダイヤモンドをさらに2つのサブカテゴリに分けることができました。1959年には、窒素がダイヤモンド中の主要な化学的不純物であること、また、タイプIダイヤモンドがこの不純物を含有しているのに対し、タイプIIダイヤモンドには含まれていないことを発見しました。

ダイヤモンドタイプ分類システム
この図は、ダイヤモンドタイプ分類システムの簡略化されたバージョンを示している。 タイプI(一番上の行)およびタイプII(下段)のダイヤモンドは、それぞれダイヤモンド構造中の炭素(および不純物)原子の配列に基づいて、2つのサブカテゴリに分けることができる。 C =炭素原子、N =窒素原子、B =ホウ素原子。 ダイヤモンドタイプは、赤外線分光法と呼ばれる科学的方法を用いて迅速に特定することができる。

天然ダイヤモンドの大半は、科学者がタイプIaと呼んでいるものです。タイプIaダイヤモンドは、窒素を2個1組、またはそれ以上の集合体という形で豊富に含有しています。このような種類のダイヤモンドは、人工的に成長させることはできません。タイプIbダイヤモンドは、2個1組や集合体といった形態でなく、散在または孤立した形で窒素原子を含みます。タイプIbは、天然ダイヤモンドでは非常にまれなものです。タイプIIaダイヤモンドにはほとんど窒素が含まれていませんが、タイプIIbダイヤモンドにはホウ素が含まれています。

合成ダイヤモンドはタイプIb、IIa、およびIIbに相当し、これらはすべて天然ダイヤモンドの中ではあまり見られないタイプです。

タイプIとタイプIIダイヤモンドのうち、後者は短波長紫外線照射下で透明度を示すことから、GIAではこれら2つのダイヤモンドを区別することができます。また、これらのタイプを赤外分光法によって確実に分類することができます(ダイヤモンドの「タイプ」別分類システムおよびその宝石学上の重要性Gems & Gemology(宝石と宝石学)、2009年夏号、Vol. 45、No. 2)。

タイプ
(色)
ナチュラル HPHT
合成
CVD
合成
Ia(ほぼ無色) 一般的 --- ---
Ib(黄) 稀少 入手可能 稀少
IIa(無色) 稀少 入手可能 入手可能
IIb(青) 稀少 稀少 稀少
この表は、天然ダイヤモンドおよび2種類の合成ダイヤモンドについての相対存在度を示したものである。ほとんどの合成ダイヤモンドは、タイプIbまたはタイプIIaのいずれかである。表の最終更新日:2018年11月。

ダイヤモンドの成長

天然のダイヤモンド結晶は、数百万年前、時には十億年前に、地球深部、100マイル(160km)以上の深さで形成され、後に火山の噴火によって地表に移動しました。こうした噴火は、キンバーライトと呼ばれる火成岩の狭い縦状パイプを形成しました。キンバーライトパイプはダイヤモンドを回収するために採鉱されており、鉱石を機械で砕いて結晶を放出させます。キンバーライト中のダイヤモンドの量は非常に少ない(おそらく100万分の1程度)ため、鉱山労働者はダイヤモンドを回収するため大量の鉱石を処理しなければなりません。

天然ダイヤモンド結晶
天然ダイヤモンド結晶(左)は、地球深部の条件の結果として起こる、典型的な丸みを帯びた八面体の形状を示している。 これらの結晶は、キンバーライトパイプ(中央)を形成する火山の噴火によって、地表に移動する。 天然宝石ダイヤモンドの理想的な結晶形状は八面体(右)。 ダイヤモンドの成長は、8つの結晶面上で行われる。

天然ダイヤモンドは、一定範囲の温度および圧力の条件下で成長します。その温度は、合成ダイヤモンドを成長させる場合より高温です。ダイヤモンドは、高温下では八面体結晶として成長しますが、実験室の低めの温度下では、八面体と立方体の両方の面を持つ結晶として成長します。天然ダイヤモンドが膨大な期間をかけて成長するということは、ほとんどのダイヤモンドに含まれる窒素不純物が2個1組または集合体として凝集するための十分な時間があるということであり、そのためその大部分(95%以上)がタイプIaとなるのです。

合成ダイヤモンドは、地球深部での天然ダイヤモンドの形成とは異なる条件下で、非常に短い期間(数週間から1か月以上)で成長させます。非常に短い成長期間のため、合成ダイヤモンドの結晶の形状は、天然ダイヤモンドのそれとは大きく異なります。

ダイヤモンドの合成

科学者たちが1950年代半ばに最初に成長させた合成ダイヤモンドは、ごく小さな結晶でした。宝石の使用に適した大きめの結晶の生産は1990年代半ばに始まって現在に至り、ダイヤモンドの育成に関わる企業は増えています。合成ダイヤモンドは、宝石および産業への応用を目的としていくつかの国で育成されていて、産業利用の方が合成ダイヤモンドのより重要な用途であるとも言えます(HPHT法による無色の中国製大型合成宝石ダイヤモンド、ジェムニュースインターナショナル、Gems & Gemology(宝石と宝石学)、2016年春号、Vol. 52、No. 1)。

高圧高温(HPHT)成長と呼ばれる従来の合成法は、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)などの溶融金属合金からのダイヤモンドの形成を伴います。化学蒸着(CVD)または低圧高温(LPHT)成長と呼ばれる新しい方法は、真空チャンバー内における気相からのダイヤモンド形成を伴います。

いずれの方法でも、成長を開始させるための種結晶としてはダイヤモンドの結晶またはプレートが使用されます。

高温高圧(HPHT)法による合成

HPHT法によるダイヤモンドは、非常に高い圧力を発生させることができる装置内の小さなカプセルで成長します。カプセル内に、出発材料のダイヤモンド粉末は溶融金属フラックス中に溶解し、その後、種結晶の上で結晶化し合成ダイヤモンド結晶を形成します。結晶化は数週間から1か月以上の期間にわたって発生し、1つまたは少数の結晶を作成します。

HPHT合成ダイヤモンドの結晶には、通常、八面体のものに加え、立方体の面も見られます。天然ダイヤモンドとHPHT合成ダイヤモンドでは結晶の形状が異なるため、それらの内部の成長パターンも大幅に異なります。こうした成長パターンは、これらのダイヤモンドを識別するうえで最も信頼性の高い方法の一つとなり得ます。

結果として得られた合成のファセットカットされた宝石には、色分布、蛍光ゾーニング、および十字型の成長セクター構造に関連したグレイニングパターンといった視覚的特徴だけでなく、時折暗色のフラックス金属内包物がみられることが頻繁にあります。合成ダイヤモンドは紫外線ランプを消した後もリン光を示し続けることもあります。このような合成ダイヤモンドは、可視分光分析やフォトルミネッセンス分光法などのラボ技術を用いて、確実に鑑別することができます。

ほとんどのHPHT成長結晶は、黄色、オレンジがかった黄色、または茶色がかった黄色です。ほぼすべてが、天然ダイヤモンドでは珍しいタイプIbです。

窒素を除外するために、成長条件や装置への変更が必要なため、無色のHPHT合成石の製造は課題となっています。また、高純度無色のダイヤモンド(タイプIIaまたは弱いタイプIIb)の成長率は、タイプIb合成ダイヤモンドよりも低くなっており、より長い育成期間と、温度および圧力条件のより細かな制御が必要となります。従来、高品質の無色HPHT結晶を育成することは困難でしたが、最近の技術の進展により、10ctを超える重さのファセットカット石に十分な結晶の生成が可能になりました(大型ブルーおよび無色のHPHT合成ダイヤモンド、ラボノート、Gems & Gemology(宝石と宝石学)、2016年夏号、Vol. 52、No. 2)。

成長システム内にホウ素を加えると、青色の結晶が得られます。ピンクや赤などの他の色は、放射線や熱処理を伴う成長後の処理プロセスによって生成できますが、あまり一般的ではありません。

高温高圧(HPHT)合成
高温高圧(HPHT)合成では、必要な成分が含まれている中央の成長室に、高圧装置(左)で非常に高い圧力と温度を適用する。 これにより、立方体および八面体の面(中央、右)の組み合わせを持つ合成ダイヤモンドの結晶が生成される。
Gems & Gemology(宝石と宝石学)2004年冬号に掲載された合成ダイヤモンドの記事に付属する表。ダウンロード(PDF)

化学蒸着(CVD)法による合成

CVDダイヤモンドの成長は、メタンなどの炭素含有ガスが充填された真空チャンバー内で起こります。マイクロ波ビームのようなエネルギー源がガスの分子を分解し、炭素原子は下方にある平らなダイヤモンドの種結晶プレートに向かって引き寄せられます。結晶化が数週間にわたって発生し、同時に複数の結晶を生成します。実際の数は、チャンバーのサイズおよび種結晶プレートの数に依存します。平板状結晶には、多くの場合黒鉛の荒いエッジがあります。こうした結晶は茶褐色に見えることも多くありますが、この色は宝石としてファセットカットされる前に熱処理で取り除くことができます。

無色のCVD成長法による宝石品質合成ダイヤモンド
このような(0.22~ 0.31ct)無色のCVD成長法による宝石品質合成ダイヤモンドが現在市販されており、正確な鑑別が重要となっている。 写真:Jian Xin (Jae) Liao/GIA

殆どのCVD結晶は褐色か灰色がかっていますが、窒素やホウ素を微量をチェンバー内に注入すると、黄色、ピンクがかった橙、または青色の結晶を製造することができます。無色の結晶はこちらの方法の方が容易に製造できますが、成長に要する時間は長くなります。市場で流通する、CVD法による無色の素材のほとんどが、褐色の結晶だったものがHPHTアニーリングによって脱色されたと考えられています。CVD合成ダイヤモンドは、大抵のものがタイプIIaです。

CVD合成ダイヤモンドは、HPHT成長の合成ダイヤモンドとは異なる宝石学特性を有します。これらを交差偏光フィルターで観察すると、均一な着色と「縞」の模様が現れる傾向にあり、クラリティが高く内包物はほとんど見られず、あったとしても非常に小さな暗色の炭素内包物程度です。

化学蒸着(CVD)法による合成
CVD合成では、合成ダイヤモンドの堆積は、炭素を多く含むガスによって平らなダイヤモンド種子結晶の表面に発生する。 合成ダイヤモンドは、複数の薄い層として成長し、最終的な厚さは成長に要する時間の長さに依存する(左)。 これにより、外側が黒の黒鉛結晶で覆われた平板状結晶(中央、右)が生成される。

HPHT合成と同様、CVD合成でも改良が続けられ、メーカーはより大きなサイズ、より美しい色とクラリティを提供できるようになっています(CVD合成ダイヤモンド品質における最近の進歩Gems & Gemology(宝石と宝石学)、2012年夏号、Vol. 48、No. 2)。

GIAでは最近、2.51ctおよび3.23ctの重さの大きいCVD合成ダイヤモンドを二つ検査しました。これはGIAが今までに検査した中で最大のCVD合成ダイヤモンドです(2個の大型CVD合成ダイヤモンドをGIAが検査、ラボノート、Gems & Gemology(宝石と宝石学)、2015年冬号、Vol. 51、No. 4)。

理想化された結晶
理想化された結晶(左から右へ):CVDによる合成石、HPHTによる合成石、天然ダイヤモンド。 八面体面は黄色、立方体面は青で表示している。 ほとんどの天然ダイヤモンドは八面体として成長(右)するが、HPHTによる合成石(中央)は一般的に、立方体と八面体の面の組み合わせとなる。 八面体の面は、CVDによる合成石(左)には全く存在しない。 結晶成長の方向を矢印で示している。 点線は、HPHT合成ダイヤモンド内の種結晶の位置と、CVD合成石の結晶の縁を表している。

鑑別

過去数年の間に、宝石用合成ダイヤモンドの生産を開始する企業が増えてきました。クラリティと色の改良が続けられ、また、カラット重量も増加してきています。ニュース報道で合成ダイヤモンドが頻繁に取り上げられていることを考慮すると、GIAで出会う合成ダイヤモンドはほんの一握りであり、これらは明らかに、それと気づかずにGIAグレーディングレポートに提出されたものです。

すべての種類の宝石素材を鑑別するため、訓練を受けたジェモロジストは、数種類の宝石検査器具を使用します。屈折計、紫外線蛍光灯、双眼顕微鏡、偏光器、付加的な検査ツールがこれに含まれます。合成ダイヤモンドの品質が従来に増して向上するにつれ、標準的な器具を使用して天然の宝石と区別することがますます困難になってきています。

訓練を受けたジェモロジストでさえ合成ダイヤモンドを識別することができない場合がありますが、GIAでは鑑別が可能です。

HPHT法合成石 CVD法合成石
不均一な色分布 均一な色分布
グレイニングパターン グレイニングパターンなし
異常な蛍光色 異常な蛍光色
蛍光色のパターン 蛍光色のパターン
リン光が見られる場合あり リン光が見られる場合あり
金属様フラックスインクルージョン 暗色ピンポイント内包物が見られる場合あり
ひずみパターンなし 帯状のひずみパターン
ガードル上に刻印の可能性 ガードル上に刻印の可能性
この表では、2種類の合成ダイヤモンドに見られる独特の視覚的特徴の多くを列挙している。

これらの確定的な識別特徴は、四半期ごとに発行されるGIAの専門誌、Gems & Gemology(宝石と宝石学)に掲載された合成ダイヤモンドの記事で説明、図解しています。各号は(既刊、新刊とも)、GIAのウェブサイトで閲覧およびダウンロードが可能です。

こうした視覚的特徴はほとんどの合成ダイヤモンドにおいて識別特徴であるものの、すべてのファセットカットされた合成ダイヤモンドがこれらの特徴をすべて示すわけではありません。たとえば、特定の合成ダイヤモンドは、蛍光を全く発しないことがあります。したがって、合成ダイヤモンドの鑑別は、できるだけ多くの識別特徴に基づいて判断することが重要です。

HPHT成長のカラー合成ダイヤモンドでは多くの場合、顕微鏡下で透過光を用いると不均一な着色が見られ、これは必要に応じてカット石を水または鉱油に浸漬すことで表面反射を最小限に抑えて観察することもできます。このカラーゾーニングは、合成ダイヤモンドが形成される際、ダイヤモンドの結晶中に窒素などの不純物がどのように取り込まれたかによるものです。天然ダイヤモンドには、カラーゾーニングがいくらか見られることがありますが、HPHT合成ダイヤモンドに見られるような幾何学的なパターンではありません。

カラーHPHT合成ダイヤモンド内のカラーゾーニング
カラーHPHT合成ダイヤモンドのカラーゾーニングは様々な結晶面に対応していて、天然ダイヤモンド結晶中に見られるものとは異なるパターンとなっている。 ある種の不純物元素は、特定の成長の方向に集中して存在している。 Ibと表示されている部分は分散窒素不純物を、IIbと表示されている部分はホウ素を含み、無色の部分(IIa)は一般に不純物元素を含まない。 合成ダイヤモンドのみが、一般的に、同じ結晶中に窒素およびホウ素不純物の混合物を示す。

これとは対照的に、CVD成長合成ダイヤモンドでは通常、均一な着色が見られます。

HPHT合成ダイヤモンドには、固化したフラックス金属の内包物が見られることがよくありますが、これは透過光では黒く不透明に見え、反射光では金属光沢を示します。ダイヤモンド成長のために使用されるフ​​ラックスの金属合金には、通常、鉄、ニッケル、コバルトなどの元素が含まれているため、より大きな金属内包物を含む合成ダイヤモンドは、磁石で識別することができます。

フラックス内包物
HPHT合成ダイヤモンドには、フラックス金属の内包物がよく見られる。これは透過光では黒く不透明に見え、反射光では金属的な光沢が見える。 磁石に引き付けられるほど、宝石にしては十分なニッケル鉄(Ni-Fe)フラックス内包物を含む場合もある。

CVD成長合成ダイヤモンドはそれとは別の方法で形成され、金属内包物を含みません。

天然ダイヤモンドには、黒鉛または他の鉱物の暗色の内包物を含むものがありますが、こうした内包物には金属的な光沢がありません。

互いに90度の角度で配向された2つの偏光フィルター間で検査した場合、天然ダイヤモンドが「歪み」による干渉色の、明るいクロスハッチまたはモザイクのパターンを示すことがよくあります。これらの干渉色は、地中深くで、または地表に至る火山の噴火時にストレスにさらされたダイヤモンドから生じます。これとは対照的に、合成ダイヤモンドはストレスにさらされないほぼ均一な圧力環境で成長するので、同じ方法で検査を行った場合、歪みパターンを全く示さない、または弱い縞状の歪みパターンを示すかのいずれかとなります。

合成ダイヤモンドの蛍光はまた、鑑別に役立つことがよくあります。多くの場合、長波紫外線ランプよりも短波紫外線ランプの下で強く、独特のパターンを示します。

十字型蛍光パターンを見せるHPHT合成ダイヤモンド
一般的に、HPHTによる合成石では、クラウンやパビリオンに十字型の蛍光パターンが現れる。

HPHT成長合成ダイヤモンドは、カットされた石のクラウンやパビリオンに十字型の蛍光パターンを示す傾向があります。パビリオンファセットを通して見たとき、CVD成長合成ダイヤモンドは、線状のパターンを示すことがあります。典型的な蛍光色は緑、黄緑、黄、オレンジ、または赤です。

紫外線ランプを消すと、合成ダイヤモンドは、1分以上継続するリン光を示すことがあります。

GIAでは、ダイヤモンドの検査にDiamondViewと呼ばれる蛍光撮像機器を使用しています。この装置は、ダイヤモンド結晶内の特徴的な成長パターンを明らかにします。

DiamondView撮像システム
DiamondView撮像システム(上)により、GIAでは天然および合成ダイヤモンドの明らかな
成長パターンを見ることができる。同心円状の成長パターン(左)は、この石が
天然であることを示し、十字型のパターン(中央)ではHPHT合成石であると判定できる。
このラウンドダイヤモンド(右)の中央に見える均一なラインは、それが
CVD成長合成石であることを示している。

宝石業界が直面している鑑別の真の課題は、小粒ダイヤモンド、メレー石の検査です。メレー石は、数百個から数千個の小粒の宝石が小包の形で販売されるもので、これには天然と合成の両方のダイヤモンドが含まれている可能性があります(処理および合成石検知のための小粒イエローダイヤモンドメレーのスクリーニング、ラボノート、Gem & Gemology(宝石と宝石学)、2015年冬号、Vol. 51、No. 4)。

強く着色されたラウンドイエローダイヤモンド
359個の強く着色したラウンドイエローダイヤモンド(0.02~0.03ct)のスクリーニングを、GIAで行った。 大部分は天然(左)で、14個(中央)はHPHT(高圧高温)合成、1個はHPHT処理した天然ダイヤモンド(右)であった。 すべての石は一見同じように見え、視覚的に鑑別することができなかった。 写真:Sood Oil (Judy) Chia

宝石業界のこの問題への対処を支援するため、GIAは、極小粒ダイヤモンドを検査するための自​​動化機器を最近開発し、GIAラボで新しい検査サ―ビスを導入する予定です。

合成ダイヤモンドについての継続的な研究プログラムの一環として、GIAは最近、CVD育成施設も設置しました。ここで独自の研究用合成ダイヤモンドの製造を行うことができるようになります。

GIAのCVDダイヤモンド成長施設
GIAのCVDダイヤモンド成長施設

真空チャンバー内の合成ダイヤモンドの結晶
成長中の合成ダイヤモンド結晶を、真空チャンバー(左)内に見ることができる。 成長が完了すると、結晶はチャンバー(右)から取り除かれた。 内部は無色で、表面は黒く覆われていた。

つまり、合成ダイヤモンドは現在、宝石に使用するためますます流通量が増加しているということです。合成ダイヤモンドの鑑別が一人のジェモロジストでは不可能な場合も、60年以上の研究に基づき、GIAラボでは可能だということを私たちは知っています。合成ダイヤモンドにつき、さらにご質問がある場合はGIAまでご連絡ください。

編集者注:この記事は、ラスベガスの2016年JCKショーで行われたプレゼンテーションの要約です。

Shigley博士は、カールスバッドのGIAの研究員です。